万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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梅の花今咲ける如(ごと)散り過ぎずわが家(へ)の園(その)にありこせぬかも

少弐小野大夫(せうにをののだいぶ)

巻五(八一六)
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梅の花は今咲いているように散り過ぎることなくわが家の庭にも咲いてほしいよ
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この歌も先の巻五(八一五)の歌と同じく、大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)の邸宅で開かれた宴席で詠まれた「梅花(うめのはな)の歌」三十二首の歌のうちのひとつ。
作者の少弐小野大夫(せうにをののだいぶ)は小野老(をののおゆ)のこと。
この「梅花(うめのはな)の歌」三十二首の歌は、三十二人が八人ずつ四群に分かれて順に詠んだもので、この小野老の歌は先の大弐紀卿の巻五(八一五)の歌に次いで二番目に詠まれたものです。

歌の内容としては、「梅の花は今咲いているように散り過ぎることなくわが家の庭にも咲いてほしいよ」と、自身の家の庭にも梅が目の前の梅のように咲いてほしいと詠うことで宴の主である旅人の家の梅を誉め称えています。

小野老は政治的には藤原氏寄りで、少弐として大宰府に赴いたのも大伴旅人の動向を監視する役目を担っていたのではないかと思われますが、個人的な付き合いとしては旅人となかなか上手くやっていたようにも感じられます。
あるいはお互いに大宰府で顔を突き合わせて過ごすうちに、政治的な立場を越えた信頼のようなものが生まれていたのかも知れませんね。
そんな参加者それぞれの立場や関係を想像しながら読むのも、この「梅花(うめのはな)の歌」三十二首の歌の魅力のひとつのように思います。


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万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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