万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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梅の花今盛りなり思ふどち插頭(かざし)にしてな今盛りなり

筑後守葛井(つくしのみちのしりのかみふぢゐの)大夫

巻五(八二〇)
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梅の花は今が盛りだ親しき人々よ頭髪に挿して飾ろう。今が盛りだ。
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この歌も巻五(八一五)の歌などと同じく、大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)の邸宅で開かれた宴席で詠まれた「梅花(うめのはな)の歌」三十二首の歌のうちのひとつ。
筑後守葛井丈夫(つくしのみちのしりのかみふぢゐのだいぶ)は、葛井連大成(ふぢいのむらじおほなり)のこと。
「思ふどち」は同士など親しき人々。

そんな宴の席の親しき人々に対して「梅の花は今が盛りだ親しき人々よ頭髪に挿して飾ろう。今が盛りだ。」と呼びかけた、こちらもまた目出度い雰囲気の一首ですよね。
「今盛りなり」を二度繰り返していますが、これは梅の花が今盛りであると同時に、広成たち宴の席の人々もまた今が盛りなのだと言祝(ことほ)いでいるのでしょう。

花を髪に挿して飾るのは、もともとは植物の生命力を自身に取り込もうとする呪術的な意味(感染呪術)がありますが、旅人たちの時代では半分形骸化が進んでひとつの風流の遊びとして楽しんでもいたようです。
そんなどこか後の世の古今集に繋がっていくような繊細さの片りんを見せながらも、同時に万葉集らしい言霊の力強さもまだかすかに感じさせてくれる内容の歌のように思います。
まさに「今盛りなり」。筑紫歌壇全盛期といった感じの華やぎが感じられる一首ですよね。


梅の花今盛りなり…


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万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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