万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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わが園(その)に梅の花散るひさかたの天(あめ)より雪の流れ来るかも
主人(あるじ)
巻五(八二二)
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わが家の庭に梅の花が散る。はるか遠い天より雪が流れて来るよ。
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この歌も巻五(八一五)の歌などと同じく、大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)の邸宅で開かれた宴席で詠まれた「梅花(うめのはな)の歌」三十二首の歌のうちのひとつ。
主人(あるじ)はもちろん宴の主人の大伴旅人(おほとものたびと)のこと。
この「梅花(うめのはな)の歌」三十二首は三十二人が八人ずつ四群に別れて詠んだもので、大弐紀卿の巻五(八一五)の歌からこの旅人の巻五(八二二)の歌までの八首が第一集団の歌となっています。
歌の内容は「わが家の庭に梅の花が散る。はるか遠い天より雪が流れて来るよ。」と、梅の花の散る様子を天から雪が流れ来る様に譬えています。
梅や桜などの花の散る様を雪に譬えるというのはその後の歌の世界では常套となってしまいましたが、その原型がこの旅人の歌に見て取れるのも興味深いですね。
とはいえ、一座を包み込むようなゆったりとした「調べ(リズム)」など、いかにもこの宴の主人の歌といえる雰囲気の素敵な一首に仕上がっているようにも思います。
以上、「梅花(うめのはな)の歌」の第一集団の八首でした。
第二集団の歌に続きます。
奈良県橿原市の万葉公園にあるこの歌の歌碑。
万葉公園は香具山の東麓にあります。
歌碑の解説。
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万葉集巻五
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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