万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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梅の花散らまく惜しみわが園の竹の林に鶯(うぐひす)鳴くも

少監阿氏奥島(せうげんあしのおきしま)

巻五(八二四)
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梅の花の散るのを惜しんでわが庭の竹の林に鶯が鳴いています。
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この歌も大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)の邸宅で開かれた宴席で詠まれた「梅花(うめのはな)の歌」三十二首の歌のうちのひとつ。
少監(せうげん)は大宰府の三等官で従六位上相当。
阿氏奥島(あしのおきしま)は、阿倍奥島(あべのおきしま)のことと思われます。

こちらは先の大伴百代の巻五(八二三)の歌からつづく第二集団の二番目の歌で、「梅の花の散るのを惜しんでわが庭の竹の林に鶯が鳴いています。」と、梅の花の庭の鶯もまた花の散るのを惜しんで鳴いているのだと詠った内容の一首ですね。
梅の花と鶯は後の世の和歌などでの典型的な組み合わせですが、この歌はその原型のひとつと言えるでしょう。
ちなみに、梅の花に実際にやってくる鳥はメジロなどがほとんどで、警戒心の強い鶯はこの歌のように竹林などに隠れて姿を現すことは滅多にないようです。
つまりは、梅と鶯の組み合わせとは実際には梅の花と鶯の鳴き声な訳ですね。

それにしても、こうして見ると一口に万葉集の歌と言っても人麿たちの時代の呪術色の濃い歌から、この「梅花(うめのはな)の歌」三十二首のような平安和歌にもつながる宴の席での共同作品のような歌まで、その特色の広さにはあらためて驚かされますね。


梅と竹林。
この写真の梅は紅梅ですが、万葉集の時代の梅は白梅がほとんどだったようです。


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万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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