万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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うち靡(なび)く春の柳とわが宿(やど)の梅の花とを如何(いか)にか分(わ)かむ
大典史氏(だいてんししの)大原
巻五(八二六)
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うち靡く春の柳とわが屋の梅の花と、どちらが優れているかどのように判断しよう。
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この歌も大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)の邸宅で開かれた宴席で詠まれた「梅花(うめのはな)の歌」三十二首の歌のうちのひとつで、第二集団の四番目の歌。
史氏大原(ししのおほはら)については、詳しいことはなにもわかっていないようです。
歌の内容は「うち靡く春の柳とわが屋の梅の花と、どちらが優れているかどのように判断しよう。」と、庭の柳と梅の花の優劣のつけがたい美しさを詠っています。
「如何にか分かむ」とは、つまりはどちらも優れていて優劣のつけようがないとの意味なわけですね。
ちなみに史氏大原のこの歌についても、山上憶良が詠んだ第一集団四番目の巻五(八一八)の歌と同じ「宿の梅の花」という語句が使われているのは、おそらく憶良の歌を連想させるために意図的に使ったものなのでしょう。
後の世の「本歌取り」とまではいかないものの、先に詠まれた歌と共通の語句を用いることで第一集団と第二集団の歌に関連を持たせ一座の連帯感を高めたわけですね。
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万葉集巻五
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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