万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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漁(あさり)する海人(あま)の児(こ)どもと人はいへど見るに知らえぬ良人(うまひと)の子と
巻五(八五三)
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川で釣りをする漁師の子だとあなたは言うけれど一目でわかってしまいます、賤しからぬ家柄の子だと
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この歌は「松浦河に遊ぶ」と題された一篇の歌群の冒頭の一首。
この一遍の歌群の作者はすべて不明ですが、この歌と次の巻五(八五四)の歌はおそらく大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)の作だろうと思われます。
「松浦河に遊ぶの序」において、この歌物語の主人公の男は松浦川魚を釣る少女らに逢い結婚の約束をします。
けれども、日は西に沈んでもう馬を駆って帰らねばならなかった為に、心の中の思いを述べてこの歌を贈りました。
歌の内容は「川で釣りをする漁師の子だとあなたは言うけれど一目でわかってしまいます、賤しからぬ家柄の子だと」と、少女たちは自分たちを賤しい家柄の子だと名乗ったけれど一目見ただけで賤しい家柄の子ではないことがわかりますよ、との少女たちを褒める歌ですね。
この「松浦河に遊ぶ」の一篇は実際の出来事ではなく神功皇后伝説の内容の一部をもとにした戯れ歌で、おそらくは大宰府の大伴旅人たちが松浦を訪れたときの宴などの席で詠み回した連歌のような作品であったのでしょう。
ですので、実際にこの少女たちが何者であったかなどにはあまり拘らずに、「野や川辺で美しい少女たちと出逢って恋を楽しみたい」という旅人たち大宰府の男の妄想として純粋にその歌物語を楽しんでいただければいいかと思います(笑)
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万葉集巻五
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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