万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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後の人の追ひて和(こた)へたる詩(うた)三首 師(そち)の老(おきな)
松浦川川の瀬早み紅(くれなひ)の裳(も)の裾濡れて鮎か釣るらむ
巻五(八六一)
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松浦川の川の瀬が早いので少女たちは紅の裳の裾を濡らして鮎を釣っているだろうか。
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この歌は巻五(八五三)以降の「松浦河に遊ぶ」と題された一篇の歌群に追加する形で詠まれた三首の歌のうちのひとつ。
題詞にある「師(そち)の老(おきな)」とは大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)のことで、この題詞は「松浦河に遊ぶ」の一篇を資料として保管する過程で山上憶良(やまのうへのおくら)が記述したもののようです。
歌の内容は大伴旅人が第三者の立場から「松浦河に遊ぶ」の世界に思いを馳せて、「松浦川の川の瀬が早いので少女たちは紅の裳の裾を濡らして鮎を釣っているだろうか。」と、今もなお松浦川では少女たちが鮎釣りをしているだろうかと想像したものとなっています。
いわば、われわれ万葉集の読者と同じような立場に大伴旅人が立って「松浦河に遊ぶ」の一篇を楽しみ、松浦川の娘子らを想像して詠んでいる歌でもあるのがなんとも興味深いですよね。
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万葉集巻五
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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