万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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百日(ももか)しも行かぬ松浦路今日(まつらぢけふ)行きて明日は来(き)なむを何か障(さや)れる

天平二年七月十一日 筑前国司山上憶良謹みて上(たてまつ)る

巻五(八七〇)
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百日かかって行くわけでもない松浦路は今日行って明日帰って来られるというのに何が邪魔をするのでしょう
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この歌も先の巻五(八六八)の歌と同じく、大伴旅人たちが松浦遊行に出かけたときに、同行できなかった山上憶良がその心情を述べて詠んだ三首の歌のうちのひとつ。
左注には「天平二年七月十一日 筑前国司山上憶良謹みて上(たてまつ)る」とありますが、おそらくこの日、旅人たちは松浦へ向けて出立したのでしょう。

筑前から松浦へは直線距離で四十キロほどで、歌にあるように今日出かけて明日帰って来ることも可能な距離だったようですが、にもかかわらず憶良は国司としての勤めのためにどうしても同行することが出来なかったようですね。
仲間が皆旅行に出かけるのに自分ひとりだけ仕事のために着いて行けないという経験は、現代人でもよくあることですよね。

「たった数十キロの距離なのに…」との憶良の鬱憤が、千数百年の時を超えた現在のわれわれにも自分の事のように共感できる歌のように思います。


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万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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