万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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人もねのうらぶれ居(を)るに龍田(たつた)山御馬(みま)近づかば忘らしなむか
巻五(八七七)
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人々が気落ちして寂しがっているというのに龍田山に馬が近づいたころには私たちのことを忘れてしまわれるでしょうか
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この歌も先の巻五(八七六)の歌と同じく、奈良の都へ帰ることになった大伴旅人(おほとものたびと)を祝う宴の席で、山上憶良(やまのうへのおくら)が詠んだ四首の歌のうちのひとつ。
「龍田(たつた)山」は、龍田周辺の山々の総称で大和川北岸の山。
河内への交通の要所にもあたります。
「人々が気落ちして寂しがっているというのに龍田山に馬が近づいたころには私たちのことを忘れてしまわれるでしょうか」と、そんな奈良の都も目の前の龍田山を目にしたころには自分たちのことなど忘れてしまわれるでしょうか、とのこれも旅人との別れの寂しさを詠った一首ですね。
旅人も憶良たち大宰府の仲間との別れは寂しかったはずですが、同時に奈良の都へ帰れる嬉しさを非常に大きく感じていたことでしょう。
一方の憶良たちには旅人と別れなければいけない残される者の寂しさだけがあり、そのような気持ちを「せめて奈良に帰っても私たちのことも忘れないでくださいね」と歌に込めたわけですね。
どことなく、旅立つ恋人に女が贈る恋歌のようにも読めて魅力的な一首ですよね。
「龍田(たつた)山」は、龍田周辺の山々の総称で大和川北岸の山。
写真の川は大和川。
龍田大社(奈良県三郷町)の西、河内(大阪)平野と奈良の要所にある龍田の山々。
河内方面からこの山を越えると平城京まではもうわずかの距離です。
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万葉集巻五
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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