万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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万代(よろづよ)に坐(いま)し給ひて天(あめ)の下申(まを)し給はね朝廷(みかど)去らずて

巻五(八七九)
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万代に長寿を保たれて天下の政治をお取りください。ずっと朝廷を去ることなく
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この歌も巻五(八七六)の歌などと同じく、大宰府から奈良の都へ帰ることになった大伴旅人(おほとものたびと)を祝う宴の席で、山上憶良(やまのうへのおくら)が詠んだ四首の歌のうちのひとつで最後の一首。

巻五(八七六)の歌から巻五(八七八)の歌まで、旅人が帰京してしまうことへの寂しさを訴える歌が続きましたが、最後のこの一首では旅人の長寿と朝廷での活躍を期待する祝いの歌を贈って締めています。
実際には旅人は大納言への昇進で天下の政治を大きく左右するほどの力はありませんでしたが、最高執政官に見立てて「天下の政治をお取りください。」と挨拶したわけですね。

ただ、「万代に長寿を保たれて」や「ずっと朝廷を去ることなく」との言葉には世辞としてだけでなく、実際に旅人の身を気遣っての気持ちが込められているようにも感じます。
この翌年に旅人は病で亡くなるのですが、憶良たちの目から見てもこの時期の旅人の体調はあまり優れては見えなかったのでしょうね。

以上、大伴旅人の帰京を祝う宴の席で山上憶良が詠んだ四首の歌の解説でした。
さらに憶良が旅人に私的に贈った送別歌が続きます。


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万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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