万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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吾(あ)が主(ぬし)の御霊(みたま)給ひて春さらば奈良の都に召上(めさ)げ給はね

天平二年十二月六日 筑前國司山上憶良謹みて上(たてまつ)る

巻五(八八二)
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あなたさまがお心を掛けてくださって春になったなら奈良の都にわたしを召し上げてくださいませ
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この歌も巻五(八八〇)の歌などと同じく、大宰師の任を終えて奈良の都へ帰ることになった大伴旅人(おほとものたびと)に、山上憶良(やまのうへのおくら)が贈った三首の歌のうちのひとつ。
「あなたさまがお心を掛けてくださって春になったなら奈良の都にわたしを召し上げてくださいませ」と、奈良の都に帰ってゆく旅人に自身の帰京の斡旋を訴えた一首となっています。
まあ、大納言に昇進して都へ帰るといっても病を得た高齢の旅人が朝廷の人事に口を出せるほどの力があったとは思えず、またこの頃は藤原四兄弟の力が絶世の頃ですし憶良も本気で当てにしていたのかどうかはわかりませんが、旅人とふたりまた奈良の都で逢いたいとの思いもあったのでしょうね。

つまりはこれらの一連の歌は都へと帰ってゆく旅人に「都にお帰りになったなら私も帰国が叶うように計らってください」とのお願いをしているわけですが、それを短歌の形で伝えるところがなんとも憶良らしくて面白いですよね。

ちなみに憶良の帰京は旅人が都へ帰った二年後に叶ったようですが、その前年に旅人は病で亡くなっており二人の都での再会はなかったようです。
憶良も旅人も、最期に一度ぐらい奈良の都の梅を眺めながらふたりで酒を交してみたかったでしょうね。


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万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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