万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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敢(あ)へて私の懐(おもひ)を布(の)べたる歌三首

天(あま)ざかる鄙(ひな)に五年住(いつとせすま)ひつつ都の風俗(てぶり)忘らえにけり

巻五(八八〇)
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天のように遠い田舎に五年も住み続けて都の風習も自然に忘れてしまいました
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この歌は大宰府から奈良の都へ帰ることになった大伴旅人(おほとものたびと)に、山上憶良(やまのうへのおくら)が贈った三首の歌のうちのひとつ。
先の巻五(八七六)の歌から巻五(八七九)の歌は、大宰府の書殿で行われた送別の宴の席でのものでしたが、こちらは憶良が個人的な立場で旅人に贈った別れの歌となっています。

山上憶良が筑前国主として赴任してきてからもう五年の月日が経っていたのでしょう。
そんな日々を振り返って「天のように遠い田舎に五年も住み続けて都の風習も自然に忘れてしまいました」と、これから旅人が帰ってゆく奈良の都を懐かしんでいます。
この当時の国司の任期は五年でしたが、憶良はその五年が経ってもまだ任期を終えて京へ戻る許しは出なかったようですね。

先に都へと帰ってゆく旅人にそんな自身の素直な郷愁の思いを訴えたこの私信の歌からは、旅人と憶良の朝廷の臣としての立場を越えた交流の深さが伺えるように思えます。


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万葉集巻五の他の歌はこちらから。
万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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