万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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朝霧(あさきり)の消易(けやす)きあが身他国(ひとくに)に過ぎかてぬかも親の目を欲(ほ)り

巻五(八八五)
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朝霧のように消えやすいわが身ではあるけれどこんな他国では死にきれないよ。親に一目逢いたくて
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この歌も先の巻五(八八四)の歌と同じく、大典麻田陽春(だいてんあさだのやす)が大伴君熊凝(おほとものきみくまこり)のことを詠った二首の歌のひとつ。
相撲使い(七夕の相撲の節会に天覧の力士を各地から連れて上京する使者)の国司の従者として奈良の都へ向かう途中に病になり亡くなった大伴君熊凝。
そんな大伴君熊凝自身になり切って麻田陽春が詠った一首ですが「朝霧のように消えやすいわが身ではあるけれどこんな他国では死にきれないよ。親に一目逢いたくて」と、両親に一目逢うことも出来ずに故郷から遠く離れた地で亡くなる無念を詠っています。

この歌は麻田陽春が亡くなった大伴君熊凝の思いを想像して詠んだ代作ですが、実際に熊凝自身が亡くなる時に感じていた思いもきっとこの歌の内容のような故郷の両親への思いだったのでしょうね。
大伴君熊凝に限らず国府の官人は故郷から親元を離れて出仕してきている者たちが多く、まだ若い熊凝の無念の死は麻田陽春たち多くの人々に他人ごととは思えない悲しみを与えたことでしょう。


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万葉集巻五の他の歌はこちらから。
万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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