万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


反歌

慰むる心はなしに雲隠(がく)り鳴き行く鳥の哭(ね)のみし泣かゆ

巻五(八九八)
-----------------------------------------------
心を慰める術さえなく雲の間に鳴きながら飛んで行く鳥のように泣いてしまうよ
-----------------------------------------------

この歌は山上憶良(やまのうへのおくら)が老いて病を重ねる自身の身を嘆いて詠んだ七首の歌のひとつで、先の巻五(八九七)の長歌に付けられた反歌のうちのひとつ。
歌の内容は「心を慰める術さえなく雲の間に鳴きながら飛んで行く鳥のように泣いてしまうよ」と、空を行く鳥の鳴き声に譬えて病気の身に泣く自身の悲しさを詠っています。

鳥はこの場合は「なく」の形容ですが、同時にあこがれの存在でもあるのでしょう。
「雲隠り」は「黄泉路への旅」をも意味し、雲間を飛んで行く鳥にこれからあの世へと旅立って行く自身の姿を見たのかも知れませんね。
そんな死を恐れる心と、御仏のもとに行って救われたいと願う心の、複雑な心理が見て取れる一首のようにも思います。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻五の他の歌はこちらから。
万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販