万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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反歌

稚(わか)ければ道行き知らじ幣(まひ)は為(せ)む黄泉(したへ)の使負(つかひお)ひて通(とほ)らせ

巻五(九〇五)
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まだ稚いので死出の道も知らないのです。贈り物をするからあの世の使いよ、背負って天国へ連れて行ってやってください。
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この歌も古日(ふるひ)という名の幼子の死を悲しんで詠まれた三首の歌のうちのひとつで、先の巻五(九〇四)の長歌に付けられた反歌のうちのひとつ。
作者はおそらく山上憶良(やまのうへのおくら)で、憶良が筑前国司として筑前にいたころに交流のあった人物の子の死に対して、その子の父親の立場に立って詠んだ歌のようですね。

歌の内容は、「まだ稚いので死出の道も知らないのです。贈り物をするからあの世の使いよ、背負って天国へ連れて行ってやってください。」と、死んだ幼いわが子の黄泉の国への道行きを案じた一首となっています。
亡くなった我が子が迷わずに天国に行けるようにあの世の使いに頼みたいとする思いは、現代人でも充分に理解できる心情ですよね。
そんないつの時代にも共通する親心を、子を亡くした父親の立場に立て詠った憶良らしいなんとも哀しい一首のように思います。


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万葉集巻五の他の歌はこちらから。
万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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