万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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奥まへてわれを思へるわが背子は千年五百歳(ちとせいほとせ)有りこせぬかも
右の一首は、右大臣の和(こた)へたる歌なり。
巻六(一〇二五)
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心の奥深くで私を思ってくれるあなたこそ千年も五百年も長生きしてほしいものです
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この歌も先の巻六(一〇二四)の歌と同じく、右大臣橘諸兄(たちばなのもろえ)の邸宅での宴のときに詠まれた歌のうちのひとつ。
左注によると作者は右大臣橘諸兄で、先の巨曾部対馬(こそべのつしま)の巻六(一〇二四)の歌に答えて詠んだもののようですね。
歌の内容は「心の奥深くで私を思ってくれるあなたこそ千年も五百年も長生きしてほしいものです」と、巻六(一〇二四)の歌で客人である巨曾部対馬が橘諸兄に千年も長生きしてほしいと讃歌を詠ったのに対して、あなたこそ千年も五百年も長生きしてほしいと答えて返した一首となっています。
まあ、特別に凝った内容と言うわけでもなく巨曾部対馬の歌の内容に宴の主人である橘諸兄がそのまま讃歌を返しただけの一首ですが、律令制度が確立された時代の宴の席にあってはこのような挨拶歌が場の秩序を構成し、またお互いの心を和ませるのに非常に大きな役割を果たしていたようですね。
京都府綴喜郡井手町にある橘諸兄の墓とされる記念碑。
まあ、実際にはこのお墓の場所のある古墳は橘諸兄の亡くなった時代とは年代が合わないようですが、供養塔なども建てられて諸兄を慕う地元の人々によって厚く祀られています。
橘諸兄公由来。
京都府綴喜郡井手町にはこの歌の宴が行われた場所である橘諸兄の別荘の玉井離宮があったといわれ、諸兄はいまも井手左大臣と呼ばれて人々に親しまれています。
橘諸兄供養塔。
京都府綴喜郡井手町の井手浄水場前の道を南に少し行くとこのような林道に入る道があります。
橘諸兄の墓はこの林道を入って十分ほど歩いた場所にあります。
(井手町の役場では観光案内のパンフレットも配っているようですので、現地を訪れるときはそちらもまた参考にしてみてください。)
林道を入ってゆくとこのような石の参道があり、この石の階段を登ってすぐの場所が橘諸兄の墓(橘諸兄旧跡)です。
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万葉集巻六
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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