万葉集入門
万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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山高み白木綿花(しらゆふはな)に落ち激(たぎ)つ滝の河内(かふち)は見れど飽かぬかも

巻六(九〇九)
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山は高く白い木綿の花のようにほとばしる激流の滝の河内は何度見ても飽きません。
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この歌も元正天皇の吉野行幸時に笠朝新金村(かさのあそみかなむら)の詠んだ歌で、巻六(九〇七)の長歌に付けられた反歌の一首。
長歌や巻六(九〇八)の歌と同じく、一読して吉野の土地を誉めてその歌土地の神々の加護を得ようとする土地讃めの歌であることが分かりますね。
同時に、金村たちが心から吉野の地を賞讃し、その美しさを愛していたことも伝わってくるかと思います。

みなさんももし吉野の土地を訪れたときは吉野川の白波を見ながら、金村の詠んだこれらの歌を実際に口ずさんでみてください。
そうすることで千数百年の時を越えて、「激つ滝の河内は見れど飽かぬかも」と詠った金村たちの心を身近に感じることが出来るはずです。


滝つ河内は、吉野の宮滝にある宮滝河川交流センターの東あたり。



激つ滝の河内。


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万葉集巻六の他の歌はこちらから。
万葉集巻六


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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