万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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反歌一首

滝(たぎ)の上(へ)の三船の山は畏(かしこ)けど思ひ忘るる時も日も無し

巻六(九一四)
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急流の上にそびえ立つ三船の山に畏みながら、僕は妻を忘れる時も日もありません。
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この歌も元正天皇の吉野行幸に従駕した車持朝臣千年(くるまもちのあそみちとせ)の詠んだ一首で、先の巻六(九一三)の長歌に付けられた反歌です。
三船山(みふねやま)は吉野にある山のことで、象山(さきやま)とともに宮滝宮からよく見える神聖な山として当時の人々に崇められていたようですね。

この反歌自体には何を「思ひ忘るる時も日も無し」なのかはっきりと詠われていませんが、反歌が長歌の内容の集約であることを考えれば「家に残してきた妻」のことと考えて間違いないでしょう。
妻のことを忘れる時も日もないとはなんとも深い夫婦愛のように思えますしもちろん広い意味での恋歌ではあるのですが、この歌も実際には長歌と同じく家に残してきた妻を思うことで旅先の不安に動揺して消え入りそうになる心を鎮めるためのものなのだと思われます。
この時代、夫や恋人を旅に出した女性は、その無事を祈る言霊としての歌を詠みました。
そして、旅に出た者もまた家に残してきた妻を思って歌を詠むことで、お互いに繋がりを感じ心の動揺を鎮めたわけですね。

まあ、現代人も歌にまでは詠まなくても愛しい人の無事を祈るようなことはよくありますし、みなさんにもこういう感覚は意外に理解出来るものがあるのではないでしょうか。


滝の上の三船山。


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万葉集巻六の他の歌はこちらから。
万葉集巻六


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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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