万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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反歌
万世(よろづよ)に見とも飽かめやみ吉野の激(たぎ)つ河内(かふち)の大宮所(おほみやどころ)
巻六(九二一)
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万年まで見つづけても飽きはしないだろう吉野の流れの激しい河内の大宮所よ
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この歌も聖武天皇(しやうむてんわう)の吉野行幸に従駕した笠朝臣金村(かさのあそみかなむら)の詠んだ一首で、先の巻六(九二〇)の長歌に付けられた反歌の内のひとつ。
歌の内容は「万年まで見つづけても飽きはしないだろう吉野の流れの激しい河内の大宮所よ」と、吉野川を万年見つづけても飽きないだろうと詠い、そんな素晴らしい場所に存在する離宮を褒め讃えた一首となっています。
「大宮所(おほみやどころ)」はこの場合は吉野離宮のことですね。
聖武天皇の頃の吉野離宮は持統天皇などの時代よりもさらに拡張されて立派な宮殿になっていたようです。
そんな離宮を吉野川の美しさとともに賞讃して、金村らしい繊細さの感じられる土地讃めの一首ですよね。
吉野資料館の吉野(宮滝)宮展示資料。
聖武天皇の時代(奈良時代)の宮滝離宮は、持統天皇などの時代(飛鳥時代)よりもかなり拡張されていたようです。
吉野資料館前にある宮滝遺跡周辺図。
上の写真資料と比較してみると、斉明朝から持統朝、聖武朝へと、時代が進むにつれて吉野資料館の手前から吉野川方面に向かって吉野離宮が拡張されていったことがわかります。
奈良県吉野町にある吉野資料館。
宮滝離宮に関する貴重な資料や発掘物が展示されています。
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万葉集巻六
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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