万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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山部宿禰赤人(やまのべのすくねあかひと)の作れる歌二首并て短歌

やすみしし わご大君(おほきみ)の 高知(たかし)らす 吉野の宮は 畳(たたな)づく 青垣隠(あをかきごも)り 川次(なみ)の 清き河内(かふち)そ 春べは 花咲きををり 秋されば 霧(きり)立ち渡る その山の いやますますに この川の 絶ゆること無く ももしきの 大宮人(おほみやびと)は 常(つね)に通(かよ)はむ

巻六(九二三)
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やすみししわが天皇が、高々とお治めになる吉野の宮は、重なり合った青山に囲まれ、川の流れの清い河内だ。春になれば花は咲きあふれ、秋になれば霧が立ち渡る。その山のようにますますに、この川のように絶えることなく、ももしきの大宮人はこれからも通い続けることだろう
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この歌は山部宿禰赤人(やまのべのすくねあかひと)が天皇の吉野行幸時に詠んだ歌のうちのひとつです。
題詞に「歌二首并て短歌」とあるように、この歌を含めた長歌が二首、それぞれに反歌が二首と一首の計五首の歌の構成となっています。

これらの歌が詠まれた時期はおそらく笠金村の巻六(九二〇)の歌と同じころと思われ、聖武天皇の吉野行幸時の儀礼歌でしょうか。
歌の内容は、天皇を讃える言葉から始まり、続いて吉野の青垣山の重なる美しさや吉野川の流れの清さを讃えています。
そしてそんな山々の重なるように、川の流れの絶えることがないように、大宮人たちはこれからもこの吉野離宮に通い続けることだろう、と詠って一首を締めくくっています。

主題としては吉野の土地を褒め称える吉野離宮賛美の儀礼歌といったところでしょうか。
土地讃めの言葉なども凝縮した、なんとも無駄のない長歌ですよね。


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万葉集巻六


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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