万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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反歌二首
み吉野の象山(きさやま)の際(ま)の木末(こぬれ)にはここだもさわく鳥の声かも
巻六(九二四)
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み吉野の象山のあたりの小梢には多くのさえずり合う鳥の声が聞こえるよ
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この歌も山部宿禰赤人(やまのべのすくねあかひと)が天皇の吉野行幸時に詠んだ歌で、先の巻六(九二三)の長歌に付けられた反歌のうちのひとつ。
「象山(きさやま)」は吉野川対岸の山。
そんな「み吉野の象山のあたりの小梢には多くのさえずり合う鳥の声が聞こえるよ」と、鳥の声も豊かな吉野の風光明媚な美しさを讃えています。
実際に現在でも桜木神社など象山の側を訪れると季節ごとに鳥のさえずり声が聞こえますが、赤人たちの時代には更に自然も豊かで生き物たちの息吹きが神秘的に感じられたことでしょうね。
この歌もそんな象山の豊かさを詠うことで吉野の土地を賞讃した宮讃め、土地讃めの一首なのでしょう。
奈良県吉野町喜佐谷の桜木神社にあるこの歌の歌碑。
桜木神社(奈良県吉野町喜佐谷)。
宮滝離宮遺跡から見た象山。
聖武天皇や山部赤人たちも千年以上も前にこの場所でおなじように象山を見たと思うと、なんだか不思議な気がしますね。
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万葉集巻六
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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