万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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やすみしし わご大君は み吉野の 秋津(あきづ)の 小野(をの)の 野の上(へ)には 跡見(とみ)すゑ置きて み山には 射目(いめ)立て渡し 朝猟(あさかり)に 鹿猪履(ししふ)み起(おこ)し 夕狩(ゆふかり)に 鳥踏(ふ)み立て 馬並(な)めて 御猟(みかり)立(た)たす 春の茂野(しげの)に
巻六(九二六)
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やすみししわが天皇は、み吉野の秋津の小野の、野の上には跡見を据え置き、山には射目を設けて、朝の狩りには鹿や猪を追い立てて、夕べの狩りには鳥を追い立て、馬を連ねては狩りをなさることだ。春の茂った野に
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この歌も山部宿禰赤人(やまのべのすくねあかひと)が天皇の吉野行幸時に詠んだ一首。
はっきりとしたことはわかりませんが、おそらくは巻六(九二三)の歌などと同じく聖武天皇の吉野行幸に従駕したときのものでしょう。
「跡見(とみ)」は、獣のとおった跡をうかがう者のこと。
「射目(いめ)」は、獣を待ち構えて射る場所。
歌の内容は、天皇がそんな「跡見」や「射目」を山に置いて朝には獣を追い立て、夕べには鳥を追い立てて、馬を連ねて狩りをされる様子を雄大に詠った長歌となっています。
巻六(九二三)の長歌が吉野離宮を讃える内容だったのに対して、こちらの歌は天皇自身を讃えることを主眼とした内容と言ってもよいでしょうか。
もちろん、獣や鳥の豊富に居る吉野の土地の豊かさを讃える土地讃めを根底に据えていることも見逃してはなりませんが。
秋津の風景。
聖武天皇や赤人たちもこのあたりまで猟りに来たのでしょうか。
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万葉集巻六
万葉集書籍紹介(参考書籍)
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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