万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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海少女棚無(あまをとめたなな)し小舟漕(をぶねこ)ぎ出(づ)らし旅のやどりに梶(かぢ)の音(おと)聞ゆ

巻六(九三〇)
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漁師の少女が小舟を漕ぎ出しているらしい。旅の宿りに梶の音が聞こえるよ
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この歌も先の巻六(九二九)の歌と同じく、聖武天皇の難波行幸に従駕した笠朝臣金村(かさのあそみかなむら)の詠んだ一首で、巻六(九二八)の長歌につけられた反歌のうちのひとつ。
「棚無(たなな)し小舟」とは、側面に棚の無い舟のことで小さな舟の意味。

歌の内容は「漁師の少女が小舟を漕ぎ出しているらしい。旅の宿りに梶の音が聞こえるよ」と、難波宮での仮の宿りに聞こえて来る梶の音に耳を澄ませて、海上で漁をする海少女を想像して詠んだ一首となっています。
まあ、海少女(あまをとめ)は本来は海岸の藻などを採るのが主で海上で漁をするのは普通は男なのですが、そんな常識に反して船に乗って漁をする海少女を想像して詠んでいるところがなんとも面白い一首ですよね。
たしかに、どうせ想像するのなら荒々しい男の漁師よりも海少女のほうが風情があっていいようにも思います。

先の巻六(九二九)の歌などは天皇の威光や行幸の壮大さを主題に詠ったものでしたが、このように難波の海の情景に関心を向けて詠んだ歌の繊細さにこそいかにも笠金村らしい良さが表れているようにも感じますね。


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万葉集巻六


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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