万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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太宰少弐(せうに)石川朝臣足人(たりひと)の歌一首

さす竹の大宮人(おほみやびと)の家と住む佐保の山をば思ふやも君

巻六(九五五)
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根をしっかりと張った竹のような大宮人が家として住む佐保の山を恋しく思いますか、貴方様は。
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この歌は大宰府にいる石川朝臣足人(たりひと)が大宰師(大宰府の長官)である大伴旅人(おほとものたびと)に詠い掛けた一首。
石川足人は太宰少弐(だざいのせうに)という官職にあり、旅人の部下の立場になります。
ただ、石川足人は大伴旅人が大宰府に赴任した年に職を終えて奈良の京に帰郷しているので、おそらくはこの歌も旅人たちとの赴任の入れ替わりの挨拶として宴会の席などで詠まれた歌ではないかと思われます。
(石川足人の後任として旅人と共に赴任したのが小野老か?)

大伴旅人の大宰府(現在の福岡県)赴任は、都で勢力を拡大していた新興貴族の藤原家との確執が原因の左遷であったとも言われ、それが事実であるかどうかは別としても年老いてからの遠い地方への赴任は非常に不本意なものであっただろうと思われます。
そんな旅人の気持ちを察して足人が慰めの歌を詠んだわけですね。
「心中お察しいたします」と…
これに旅人が答えた歌も万葉集に収録されていますが、それについてはまた次回巻六(九五六)の歌で解説させていただこうと思います。

ちなみに、この歌の「さす竹の」は「竹が根を張るように」という意味で、竹が根を張ったかのようにしっかりとした立派な宮殿との誉め言葉の意味です。
「佐保山(さほやま)」は現在の奈良市にある鴻ノ池運動公園のあたりで、この佐保の地は奈良時代に貴族の邸宅がたくさんあり、旅人の子である大伴家持(万葉集の編者?)の邸宅もここにありました。


佐保山は現在の奈良市の鴻ノ池運動公園のあたり。
このあたりには大伴氏の邸宅もありました。


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万葉集巻六


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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