万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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師(そち)大伴卿(まへつきみ)の和(こた)へたる歌一首

やすみししわご大君(おほきみ)の食国(をすくに)は倭(やまと)も此処(ここ)も同(おや)じとそ思ふ

巻六(九五六)
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あまねく国土を支配なされる天皇の御領土は大和もここも同じだと思っています。
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この歌は大宰少弐の石川朝臣足人(たりひと)が大宰師(大宰府の長官)である大伴旅人(おほとものたびと)に詠い掛けた先の巻六(九五五)の歌に旅人が和えて詠んだ一首。
「大宮人の住む奈良の佐保の山を恋しく思いますか、貴方様は」との足人の歌に対して、「天皇の支配なさる土地は大和もここも同じだと思っています」と、少し悟ったような穏やかな返歌ですね。
あるいは大宰府に赴任した直後の旅人には実際にこのような心も本心としてあったのかも知れません。

ただ、この後、旅人と共に大宰府にやってきた妻が亡くなるなど辛い経験をしたことで、旅人の望郷の念は大きく膨らみ心の弱さを見せることも多かったようです。
一方では「天皇の支配なさる土地は大和もここも同じだ」と悟りながらも、もう一方では奈良の京を恋しむ歌を詠んで酒に溺れる…
そんな人間らしさを感じさせてくれるところが、この大伴旅人という人物の魅力なのだとも思います。


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万葉集巻六


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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