万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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葉を詠める

いにしへにありけむ人もわが如(ごと)か三輪の檜原(ひばら)に插頭(かざし)折りけむ

巻七(一一一八)
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昔いたという人も私のように三輪の檜原で插頭にしようと檜の枝を折ったことだろう
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この歌は万葉集巻七の「葉を詠める」に分類された歌のうちのひとつ。
作者は不明ですが、次の巻七(一一一九)の歌の後に付けられた左注によると、この巻七(一一一八)の歌と巻七(一一一九)の歌の二首は柿本朝臣人麿歌集に収録されていた歌とのことです。

歌の内容は「昔いたという人も私のように三輪の檜原で插頭にしようと檜の枝を折ったことだろう」と、昔の人も自分のように三輪の檜原の檜の枝を插頭にしたことだろうと想像した一首となっています。
「三輪(みわ)の檜原(ひばら)」は、奈良県桜井市三輪にあった檜(ひのき)の原のことで、今の三輪山周辺なのでしょう。

檜の枝を插頭にする行為は、この時代には単なる髪飾りとしてではなく神聖な三輪の地の檜の霊力を自身の身体に取り込もうとした呪術的な行為でした。
つまりは、この歌もまた自分と同じように昔から多くの人々が三輪の檜原の霊力を授かろうとしたのだろうとの、三輪の檜原の神聖さを讃えた一首なわけですね。



奈良県桜井市の井寺池近くにあるこの歌の歌碑。
檜原神社の前の道を少し西に行った場所にあります。



添碑。



檜原神社駐車場の側にこのような万葉歌碑の案内図があるので、また現地での参考にしてみてください。



奈良県橿原市の万葉の森(香具山の東)にもこの歌の歌碑があります。



檜の木の枝。



檜(ひのき)は大昔の人々がこの木をこすり合わせて火をつけたことから「火(ひ)の木(き)」と呼ばれるようになったそうです。


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万葉集巻七


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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