万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
スポンサード リンク
往(ゆ)く川の過ぎにし人の手折(たを)らめばうらぶれ立てり三輪の檜原は
右の二首は、柿本朝臣人麻呂の歌集に出づ。
巻七(一一一九)
-----------------------------------------------
流れゆく川のように去って行った人が手折らないので寂しそうに立っているよ三輪の檜原は
-----------------------------------------------
この歌も万葉集巻七の「葉を詠める」に分類された歌のうちのひとつで、左注によると、先の巻七(一一一八)の歌とこの歌の二首は柿本朝臣人麿歌集に収録されていた歌とのことです。
おそらくは人麿自身の作か、あるいは朝廷の誰かが詠んだ歌を人麿が記録したものなのでしょう。
歌の内容は「流れゆく川のように去って行った人が手折らないので寂しそうに立っているよ三輪の檜原は」と、手折る人がいなくなってうらぶれてしまった三輪の檜原を詠った一首となっています。
「うらぶれる」はしょんぼりとする意味。
「過ぎにし人」は亡くなった人のことで、万葉集の時代には直接「死」という言葉を言うことを嫌ってこのような遠回しの表現がよくなされます。
内容的には誰かの死を悼んで詠まれた挽歌のようにも読めますが、挽歌でなく「雑歌(ざふか)」に分類されているということは、先の巻七(一一一八)の歌の続きとして特定の個人ではなく広く過去の人を念頭に置いて詠まれた歌ということでしょうか。
おそらくは、今はもう手折る人も少なくなって、うらぶれて立つ三輪の檜原の土地の神を慰めるための呪術歌だったのでしょうね。
スポンサード リンク
関連記事
万葉集巻七の他の歌はこちらから。
万葉集巻七
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
万葉集入門(トップページ)へ戻る
当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2016 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)
スポンサード リンク
欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中
Amazon.co.jp - 通販