万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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宇治川を船渡せをと呼ばへども聞こえざるらし楫(かぢ)の音(おと)もせず

巻七(一一三八)
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宇治川で船を渡せと呼ぶのだが聞こえないらしい。楫の音もしないよ
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この歌も巻七(一一三五)の歌などと同じく、「山背(やましろ)にして作れる」と題された歌の一首で作者は不明となっています。
歌の内容は「宇治川で船を渡せと呼ぶのだが聞こえないらしい。楫の音もしないよ」と、対岸の渡し船を呼んでいるのに遠くて聞こえないのかいつまで経っても船をこぐ梶の音すらしない詠嘆の思いを詠った一首となっています。

実際に宇治川を訪れてみるとよくわかるのですが、宇治川は川幅が非常に広く、対岸から呼びかけたぐらいではなかなか声が届かないのでしょう。
そのような場合は船頭がこちらの岸を見るまで待つしかないのですが、そんな旅の途上の心細さを詠った一首でしょうか。
あるいは、それほどまでに広い宇治川の雄大な流れを讃える意図もあるのかも知れませんね。


京都府宇治市の宇治川。
宇治川は非常に川幅の広い川なので、対岸から呼びかけても喧騒の激しい昼間などはなかなか聞こえないのでしょう。


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万葉集巻七


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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