万葉集入門
万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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人ならば母の最愛子(まなご)そあさもよし紀の川の辺(へ)の妹と背の山

巻七(一二〇九)
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もし人間だったなら母の最愛の子だろう。麻裳よい紀の川沿いの妹と背の山
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この歌も巻七(一一九三)の歌と同じく、和歌山県かつらぎ町にある妹背(いもせ)の山を詠んだ一首。
作者は不明ですが、土地の人々やあるいはこの地を訪れた旅人が詠んだ歌でしょうか。

この歌の国体番号は巻七(一二〇九)となっていますが、このサイトの参考にさせてもらっている「万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫)」とおなじように紀州本を基にして、ここでも巻七(一一九三)の歌の次に紹介させてもらいます。
紀州本では巻七(一一九三)の次に、(一二〇九)、(一二一〇)、(一二〇八)、(一二一一)、(一二一二)〜と(一二二二)まで続き、そこから(一一九四)〜(一一九九)、その後(一二〇〇)〜(一二〇七)と続き、(一二二三)以降は国体番号の順番通りとなっています。

巻七(一一九三)の歌でも紹介したように「背(せ)の山」と「妹(いも)の山」は向かい合っており、万葉の時代から背山が男の山で妹山が女の山に譬えられていますが、ここではそんな妹背の山を「もし人間だったなら母の最愛の子だろう。麻裳よい紀の川沿いの妹と背の山」と、もし人間であるなら母の最愛の子だっただろうと褒め称えています。
これもまあ、いわゆる土地讃(とちぼ)めの歌なのでしょうね。

このように万葉時代の人々はその土地の名所などを褒め称える歌を詠むことで、その土地の神の加護を受けようとしました。


道の駅「紀の川 万葉の里」横の堤防から見た背の山。



道の駅「紀の川 万葉の里」の前の道を少し西に行った先の紀ノ川沿いにこの歌の歌碑が立っています。
道の駅からは車で約三分ほど。ちょうど、背の山と妹山の間ぐらいの場所です。



紀川沿いに立つこの歌の歌碑。



歌碑の後ろに妹山(三角に見える柿畑のある山)が見えます。



また、妹山と背山の間の紀の川の中にある船岡山の岸壁にもこの歌が書かれています。



船岡山の岸壁にもこの歌が書かれています。


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万葉集巻七


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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