万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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鏡王女(かがみのおほきみ)の歌一首

神奈備(かむなび)の伊波瀬(いはせ)の杜(もり)の呼子鳥(よぶこどり)いたくな鳴きそわが恋まさる

巻八(一四一九)
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神の寄りつく伊波瀬の杜の呼子鳥よそんなに鳴かないでおくれ。私の恋心も募ってしまうよ
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この歌は鏡王女(かがみのおほきみ)の詠んだ一首です。
鏡王女についてははっきりとしたことはわかりませんが、一説には鏡王の娘で額田王の姉であるとの説もあります。

そんな鏡王女が詠んだ歌ですが「神の寄りつく伊波瀬の杜の呼子鳥よそんなに鳴かないでおくれ。私の恋心も募ってしまうよ」と、伊波瀬の杜の呼子鳥にそんなにも鳴かないでくれと呼びかけた一首となっています。
「呼子鳥(よぶこどり)」はカッコウのことで、その「カッコウ」との鳴き声から「かく恋ふ」の音に掛けてこう詠ったわけですね。

「神奈備(かむなび)」は神の寄りつく所で、有名な神奈備としては桜井の三輪山や飛鳥の神奈備など(神なびなどもまた参考にしてみてください)がありますが、この歌で歌われている「伊波瀬(いなせ)の杜(もり)」も立野の神奈備として地元の人々から信仰されていたようです。


奈良県生駒郡三郷町の「磐瀬の杜」にあるこの歌の歌碑。



磐瀬の杜。
ここがこの歌に詠われている伊波瀬の杜でしょうか。



磐瀬の杜。
磐瀬の杜はJR西日本の三郷駅から西に少し行った場所にあります。
歌碑のすぐ後ろはJRの線路。



龍田大社の末社である神南備神社。



神南備神社の前の解説板にはこの場所が神奈備の杜であったと紹介されています。
神南備神社はJR三郷駅から少し北東に行った集落の中(龍田大社と三郷駅の間ぐらいの場所)にあります。


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万葉集巻八


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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