万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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駿河采女(するがのうねめ)の歌一首

沫雪(あわゆき)かはだれに降ると見るまでに流らへ散るは何の花そも

巻八(一四二〇)
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沫雪がまばらに降っているのかと思えるほどに流れるように散っているのは何の花なのだろう
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この歌は駿河采女(するがのうねめ)が詠んだ一首です。
采女(うねめ)とは天皇の側に仕えて水司、膳司などのお世話をする女官のことで、駿河采女は駿河出身の采女だったのでしょう。
万葉集巻八はの春の雑歌は巻八(一四一八)からこの歌までの三首が白鳳時代(飛鳥時代)の歌で、これ以降が奈良時代の歌のようですね。

そんな駿河采女が詠んだ歌ですが「沫雪がまばらに降っているのかと思えるほどに流れるように散っているのは何の花なのだろう」と、沫雪のように空に流れる梅の花を詠った一首となっています。
「何の花なのだろう」ととぼけてはいますが、これは梅を暗示する歌の新技法なわけですね。

これよりもはるかに先の時代の平安時代にはこの手の対象をあえてぼかして見る表現が極まって行きますが、そんな歌の原型がすでに白鳳期のこの歌からも見て取れるのは興味深いことのように思えます。


沫雪かはだれに降ると見るまでに…梅の花。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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