万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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わが背子に見せむと思(おも)ひし梅の花それとも見えず雪の降れれば

巻八(一四二六)
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愛しい人に見せたいと思っていた梅の花はどこなのかわからなくなってしまった。雪が一面に降ってしまったので
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この歌も巻八(一四二四)の歌などと同じく、山部宿禰赤人(やまべのすくねあかひと)の詠んだ春の歌四首の内のひとつです。
「背子(せこ)」は女性が男性に対して使う言葉ですが、この場合は男性の山部赤人が女性の立場に立って詠んだ歌なのでしょう。
あるいは宴席などで詠んだ戯れの歌だったのかも知れませんね。

歌の内容は「愛しい人に見せたいと思っていた梅の花はどこなのかわからなくなってしまった。雪が一面に降ってしまったので」と、想い人に見せたいと思っていた梅の花が雪に埋もれてしまった情景を詠っています。
まあ、実際には雪が降り積もったからといって梅の花がどこにあるかわからなくなることなどないと思いますが、そんな雅な表現を楽しむ後の平安時代の歌などに繋がっていく類型的な歌の元祖がこのあたりに見て取れるようにも感じられますね。


梅の花。
(奈良市片岡梅林)。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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