万葉集入門
万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


霞立つ春日(かすが)の里の梅の花山の下風(あらし)に散りこすなゆめ

巻八(一四三七)
-----------------------------------------------
霞の立つ春日野の里の梅の花は山から吹き下ろす強風に散らないでほしい。けっして
-----------------------------------------------

この歌も先の巻八(一四三六)の歌と同じく、大伴宿禰村上(おほとものすくねむらかみ)が詠んだ二首の梅の歌のうちのひとつ。

巻八(一四三六)の歌では梅の蕾が開花しただろうかと想像していましたが、こちらでは「霞の立つ春日野の里の梅の花は山から吹き下ろす強風に散らないでほしい。けっして」と、せっかく開花した梅が春日山からの強風によって散らないでほしいと願った一首となっています。

「霞立つ」は「春日」にかかる枕詞ですが、この場合は同時に春の実景と解釈してもよいでしょう。
おそらくは佐保あたりにあった大伴村上の邸宅に実際に春日山方面からの強風が吹いていたのでしょうね。
そんな風の中でまだ見てもいない開花したばかりの梅に散ってしまわないでほしいと願った、この歌もまた万葉時代の貴族らしい風流を感じさせてくれる一首と言えるでしょう。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻八の他の歌はこちらから。
万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2016 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販