万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)の歌一首

風交(まじ)り雪は降るとも実にならぬ吾家(わぎへ)の梅を花に散らすな

巻八(一四四五)
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風交じりに雪が降ることがあったとしてもわが家の梅を実のらない花のままで散らすな
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この歌は大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が梅の花を詠んだ一首です。
大伴坂上郎女は大伴旅人(おほとものたびと)の異母妹。

歌の内容は「風交じりに雪が降ることがあったとしてもわが家の梅を実のらない花のままで散らすな」と、自身の家の梅の花を実の成らないままに散らさないでほしいとの思いを詠った一首となっています。
これは一見、そのまま春の梅の花を詠っているようにも取れますが、「花のまま散る」ことから「実の成らない恋」の意味で、自身の娘のことを寓した歌だとも言われているようですね。

大伴坂上郎女の娘と言えば坂上大嬢(さかのうへのおほをとめ)と坂上二嬢(さかのうへのおとをとめ)がいますが、大嬢のことを詠った歌だとすれば後に大嬢の夫となる大伴家持に詠い掛けた歌とも取れますね。
あるいは次女の二嬢ならばこちらも後に二嬢の夫となったと言われる大伴駿河麿(おほとものするがまろ)に詠い掛けた歌とも取れるでしょうか。
一説によるとこの歌は、駿河麿が詠んだ巻八(一四三八)の歌に関係した一首とも言われているようですし。

どちらにしても娘の将来を案じる気持ちを梅の花に託して詠んだ坂上郎女らしい一首のように思います。


梅の花。



梅の実。
梅の実は梅干しなどに利用することで現代人にも馴染みが深いですね。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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