万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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笠女郎(かさのいらつめ)の大伴家持に贈れる歌一首

水鳥の鴨(かも)の羽(は)の色の春山のおほつかなくも思ほゆるかも

巻八(一四五一)
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水鳥の鴨の羽の色のような春山がぼんやりと霞んでいるようにおぼつかない心持ちです
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この歌は笠女郎(かさのいらつめ)が大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)に贈った一首です。
笠女郎については詳しいことはわかっていませんが、大伴家持に多くの恋歌を贈ったことで有名な女性です(一説には笠金村(かさのかなむら)の娘とも…)。
笠女郎と大伴家持の恋については巻三:三九五以降などもまた参考にしてみてください。

この歌もそんな笠女郎が大伴家持に贈った歌のひとつですが「水鳥の鴨の羽の色のような春山がぼんやりと霞んでいるようにおぼつかない心持ちです」と、霞の立ちこめる春山が霞んで見えるのとおなじようにおぼつかない恋心ですと、霞立つ春山に自身の心を譬えて詠んだ一首となっています。
内容的にもどうやらこの歌は二人の関係がはっきりとしないまだ恋の初期の頃のもののようですね。

「水鳥の」は鴨にかかる枕詞。
「鴨の羽色」はマガモのオスの頭の羽の色のことで、これもまた春山にかかる枕詞でもあります。
さらに「春山の」までの上の句三句が「おほつかなくも」を起こす序になっている訳ですが、このあたりはさすがは歌の上手な笠女郎らしい凝った一首ですよね。


「鴨の羽色」はマガモのオス(写真の向かって右数匹がオス、左はメス)の頭の羽の色のこと。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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