万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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弓削皇子(ゆげのみこ)の御歌一首

霍公鳥無かる国にも行きてしかその鳴く声を聞けば苦しも

巻八(一四六七)
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霍公鳥のいない国にでも行ってしまいたいものだ。その鳴き声を聞くと辛いことだよ
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この歌は弓削皇子(ゆげのみこ)の詠んだ一首です。
弓削皇子は天武天皇(てんむてんわう)の子で、長皇子(ながのみこ)の同母弟。
この後、若くして亡くなった薄命の皇子でもあります。

そんな弓削皇子の詠んだ一首ですが「霍公鳥のいない国にでも行ってしまいたいものだ。その鳴き声を聞くと辛いことだよ」と、霍公鳥(ほととぎす)の鳴く声を聞く辛さを詠っています。
霍公鳥は万葉集中の鳥の中でも最も多く詠まれている夏の渡り鳥ですが、ときに悲しみを感じさせる鳥として詠われることも多かったようです。

これは古蜀の聖帝が死後に霍公鳥になって昔を懐かしんで鳴いたとの中国の故事から、亡くなった自分の身近な人たちが霍公鳥となって昔を懐かしんで鳴いているのだとの連想がそうさせたのかも知れませんね。
弓削皇子もおそらくは霍公鳥の声に亡き人(父の天武天皇たちでしょうか?)を思い出して、その人と過ごした昔の日々が思い起こされて辛かったのでしょうね。

ただ、それは同時に、亡くなった懐かしい人たちの魂が霍公鳥となって(霍公鳥に運ばれて)逢いに来てくれているのだとの思いにもつながって、先の志貴皇子(しきのみこ)の巻八(一四六六)の歌のように霍公鳥の鳴き声は聞けば辛いけれど待ち遠しいという複雑な声でもあったようです。


奈良県明日香村にある高松塚古墳。
高松塚古墳の被葬者は不明ですが、一説には弓削皇子の墓だともいわれています。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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