万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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長屋王(ながやのおほきみ)の歌一首
味酒(うまさけ)三輪の祝(はふり)の山照らす秋の黄葉(もみぢ)の散らまく惜しも
巻八(一五一七)
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味酒三輪の神官が守る山を輝かせる秋の黄葉の散るのが惜しいことだなあ
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この歌は長屋王が三輪山の秋の黄葉の散るのを惜しんで詠んだ一首。
「三輪山(みわやま)」は奈良県桜井市にある山で、白蛇の神である大物主が棲むとされる神の山。
「祝(はふり)」は神官のことで、万葉集の時代には神の山に対して「祝(はふり)の山」という表現が使われていたのでしょうか。
「味酒(うまさけ)」は三輪に懸る枕詞。
そんな「味酒三輪の神官が守る山を輝かせる秋の黄葉の散るのが惜しいことだなあ」と、三輪山の黄葉の散ってゆくのを惜しんだ一首となっています。
長屋王(ながやのおほきみ)は臣下の最高位である左大臣まで昇進しましたが、その後、謀反の罪で自害に追い込まれるなど、日本史の例に漏れず悲劇的な最期を迎えた人物です(長屋王の変に関しては巻三:四四一などを参照)。
長屋王がこの歌を詠んだ頃にはそんな自分が辿る将来の悲劇を想像もしていなかったのでしょうけれど、そんな後の歴史を知って読むと黄葉の散ってゆく様に人生の郷愁が重なって見えて心に響いてくる一首ですよね。
奈良県桜井市の大神神社宝物殿横にあるこの歌の歌碑。
添え碑。
大神神社外苑の大美和苑休憩所前の万葉歌碑。
(狭井神社前の大美和展望台を少し北に行った場所にある休憩所です。)
大神神社外苑の休憩所前の歌碑にもこの歌が刻まれています。
歌碑のある大神神社外苑休憩所。
写真手前が万葉歌碑。
祝の山(三輪山)。
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万葉集巻八
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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