万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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風雲(かぜくも)は二つの岸に通へどもわが遠妻(とほづま)の〔一は云はく、はしづまの〕言(こと)そ通はぬ

巻八(一五二一)
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風や雲は天の川の二つの岸を通い行くのだけれど私の遠い妻の〔一は云はく、愛しい妻の〕言葉は通わないよ
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この歌も山上臣憶良(やまのうへのおみおくら)が七夕を詠んだ十二首の歌のうちのひとつで、先の巻八(一五二〇)の長歌につけられた反歌のうちのひとつ。
「一に云はく」の「はしづま」は「愛(は)し妻」で、これは憶良自身による四句目の別案でしょうか。

歌の内容は「風や雲は天の川の二つの岸を通い行くのだけれど私の遠い妻の〔一は云はく、愛しい妻の〕言葉は通わないよ」と、こちらも長歌と同じく牽牛の立場に立って天の川に隔てられた織女と言葉すら交わせない切なさを詠っています。

対岸の風や雲は通ってくるのに恋人の言葉は届かないよ、との牽牛の立場の切ない恋心は、おなじく恋の障害の多かった憶良たち万葉時代の人々に我が事のように感じられたのでしょうね。
もちろん携帯電話などの通信手段が発達した現代でも、この歌に詠まれた七夕の切ない恋の思いは色あせることなくわれわれの心に響いて来ますよね。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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