万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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袖振らば見もかはしつべく近けども渡るすべ無し秋にしあらねば
巻八(一五二五)
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袖を振ったならお互いに見ることも出来るほどに近いのに渡るすべがないよ。秋ではないので
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この歌も巻八(一五二三)の歌などと同じく、山上臣憶良(やまのうへのおみおくら)が七夕を詠んだ十二首の歌のうちのひとつです。
歌の内容は「袖を振ったならお互いに見ることも出来るほどに近いのに渡るすべがないよ。秋ではないので」と、こちらも牽牛の立場に立って秋の七夕以外には天の川を渡ることの出来ない切なさを詠った一首となっています。
「袖を振る」は愛しい相手の魂を呼び寄せる万葉時代の招魂の行為ですが、大陸から伝わった七夕伝説にそのような大和古来の行為を組み合わせて詠んだ柔軟さも、その後の日本の七夕が普及してゆく過程を連想させて面白一首のように思います。
こうして読むと、憶良たち万葉時代の人々も牽牛と織女の関係をまさに自分たちの境遇に置き換えて楽しんでいたことがよくわかって興味深いですよね。
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万葉集巻八
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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