万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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天の川ふつの波音(なみおと)騒くなりわが待つ君し舟出すらしも

巻八(一五二九)
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天の川のすべての波が音を立てて騒ぐようです。私の待っているあなたが舟を出されるらしい
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この歌も巻八(一五二七)の歌などと同じく、山上臣憶良(やまのうへのおみおくら)が七夕を詠んだ十二首の歌のうちのひとつ。
歌の内容は「天の川のすべての波が音を立てて騒ぐようです。私の待っているあなたが舟を出されるらしい」と、こちらも織女の立場に立って天の川の騒ぐような波音から牽牛の舟出を予感して詠んだ一首となっています。

もちろんこれも七夕伝説から想像を広げて詠んだ戯れの歌なわけですが、愛する人の訪れを今か今かと待ち望む女性の恋心を上手く表現した一首ですよね。
織姫に限らず、みなさんにも一度はこれによく似た恋の経験がおありなのではないでしょうか。
そんな誰もが共感できる恋心を七夕伝説に重ねて詠んだ、なんとも憶良らしい魅力の一首に仕上がっているように思います。

以上、山上憶良が七夕を詠んだ十二首の歌の紹介でしたが、首皇太子や長屋王、大宰府での大伴旅人などとの交流など、憶良が高級官僚として過ごした毎年々の七夕の夜を追体験するような感覚もして、みなさんにも興味深く楽しんでいただけたのではないでしょうか。
このように歌を通して奈良時代の皇族や貴族との交流を追体験できるというのもまた、万葉集の楽しみのひとつのようにも思います。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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