万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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藤原宇合卿(うまかひのまへつきみ)の歌一首

わが背子を何時(いつ)そ今かと待つなへに面(おも)やは見えむ秋の風吹く

巻八(一五三五)
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私の愛しい人を何時だろう今来るかと待つままに、お顔を見ることなどできるのでしょうか。いたずらに秋の風が吹きます
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この歌は藤原宇合(ふじはらのうまかひ)の詠んだ一首です。
藤原宇合は藤原不比等(ふじはらのふひと)の三男で、いわゆる藤原四兄弟の一人。

そんな宇合の詠んだ歌ですが、「私の愛しい人を何時だろう今来るかと待つままに、お顔を見ることなどできるのでしょうか。いたずらに秋の風が吹きます」と、これは男の来訪を待つ女の立場に立って詠まれたものですね。
藤原宇合はもちろん男ですが、おそらくは宴席などで戯れの恋歌として詠んだ一首なのでしょう。

「秋の風吹く」もそのままの意味だけでなく巻四(四八八)の額田王(ぬかたのおほきみ)の歌を意識した、秋の風がすだれを動かして男の来訪かと期待させるとの思いも込められているのでしょうね。
戯れの恋歌ではあるものの、女心の切なさを詠って素敵な一首のように思います。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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