万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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わが岡の秋萩の花風をいたみ散るべくなりぬ見む人もがも

巻八(一五四二)
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わが家近くの岡の秋萩の花は風が激しいので散りそうになっているよ。見る人があってほしいものだなあ
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この歌も先の巻八(一五四一)の歌と同じく、太宰師(だざいのそち)の大伴旅人(おほとものたびと)が詠んだ二首の歌のうちのひとつ。
歌の内容は「わが家近くの岡の秋萩の花は風が激しいので散りそうになっているよ。見る人があってほしいものだなあ」と、見る者もなく風に散ってゆく萩の花を惜しんだ内容となっています。
巻八(一五四一)の歌では萩の花に言問いに来た男鹿を詠っていましたが、こちらではもうそんな鹿の姿もないわけですね。

ただ、この歌も単純に散ってゆく萩そのものを惜しんでいるというよりは、旅人が大宰府の地でひとり萩の花を眺める寂しさを悲しんでいるようにも思えます。
「見る人」とは、あるいは大宰府に来てすぐに亡くなってしまった妻のことを思っての表現だったのではないでしょうか。

おそらくは大宰府の地に咲く萩を見て、奈良の都で今は亡き妻とともに見た秋萩を思い出したのでしょう。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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