万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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織女(たなばた)の袖つぐ夜(よる)の暁(あかとき)は川瀬の鶴(たづ)は鳴かずともよし
巻八(一五四五)
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織女が牽牛と袖を交わす夜の夜明けには川瀬の鶴は鳴かなくてもいいよ
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この歌も先の巻八(一五四四)の歌と同じく、湯原王(みはらのおほきみ)が七夕の夜を詠んだ二首の歌のうちのひとつ。
歌の内容は「織女が牽牛と袖を交わす夜の夜明けには川瀬の鶴は鳴かなくてもいいよ」と、七夕の夜の逢瀬が終わればまた離れ離れになってしまう織女と牽牛のために、夜明けを告げる鶴は鳴かなくてもよいと詠った一首ですね。
先の巻八(一五四四)の歌と同じく、この歌からも湯原王の人となりが感じらるようなそんな気がします。
また、牽牛織女伝説は現代でも切ない恋の伝説として多くの共感を得ていますが、こうして読むと夜に人目を忍んで逢い朝には帰らねばならない逢瀬が主だった万葉の時代の人々には、現代人よりもさらに織女と牽牛の関係をわが事のように感じる感性を持っていたこともよくわかりますよね。
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万葉集巻八
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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