万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴家持の和(こた)へたる歌一首

わが屋戸(やど)の一群萩(ひとむらはぎ)を思ふ児(こ)に見せずほとほと散らしつるかも

巻八(一五六五)
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私の家の一群れの萩を恋しい子に見せもせずあやうく散らせてしまうところだった
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この歌は日置長枝娘子(へきのながえのをとめ)の詠んだ先の巻八(一五六四)の歌に、大伴家持(おほとものやかもち)が答えて詠んだ一首。
ただし、歌の内容が先の巻八(一五六四)の歌への答えた歌としてはふさわしくないことから、あるいは巻八(一五七二)の歌と入れ替わってしまっている可能性があるようですね。

歌の内容は「私の家の一群れの萩を恋しい子に見せもせずあやうく散らせてしまうところだった」と、自分の家に咲く萩の花を恋人に見せたいとの思いが詠われています。

まあ、この歌が実際に日置長枝娘子の巻八(一五六四)の歌に答えたものだとするなら、日置長枝娘子の詠んだ尾花に対して同じく秋の代表的な花である萩を詠って彼女のことを思う恋心を伝えたとも取れますね。
そんな自身の恋心を季節の花に託して詠んだ、奈良時代の万葉人らしい繊細さがよく表れている一首のようにも思います。


萩の花(春日大社万葉植物園)。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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