万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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春日野(かすがの)に時雨(しぐれ)ふる見ゆ明日(あす)よりは黄葉插頭(もみぢかざ)さむ高円(たかまと)の山

巻八(一五七一)
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春日野に時雨の降るのを見ていると、明日からはきっと黄葉を插頭にすることだろう高円の山は
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この歌も先の巻八(一五七〇)の歌と同じく、藤原朝臣八束(ふぢはらのあそみやつか)の詠んだ二首の歌のうちのひとつです。
「春日野(かすがの)」は奈良市街地東方の春日山の西麓一帯の地。
「高円(たかまと)の山」は「高円山(たかまどやま)」のことで、奈良市の東部、春日山の南にある山のこと。

歌の内容は「春日野に時雨の降るのを見ていると、明日からはきっと黄葉を插頭にすることだろう高円の山は」と、春日野に降る時雨を見て、その雨によって高円山が一気に黄葉するだろうことを想像した一首となっています。
「黄葉插頭(もみぢ)さむ」とは、つまりは高円山が黄葉を插頭にするだろうとの擬人化した表現なわけですね。

そんな擬人化した表現で高円山の黄葉を期待して詠んだ、この歌もまた静かな魅力のある秋の一首に仕上がっているように思います。


春日野(飛日野)から見た高円山。
高円山は奈良市の東部、春日山の南にある山で、大文字焼きのために三角に刈り取られた山肌が特徴的です。


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万葉集巻八の他の歌はこちらから。
万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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