万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴利上(としかみ)の歌一首

秋の雨に濡れつつをれば賤(いや)しけど吾妹(わぎも)が屋戸(やど)し思ほゆるかも

巻八(一五七三)
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秋の雨に濡れ続けているとむさ苦しき佇まいではあるけれど私の妻の家が恋しく思われることだなあ
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この歌は大伴利上(おほとものとしかみ)の詠んだ一首です。
大伴利上については詳しいことはわかっていませんが、あるいは巻八(一四三六)などの歌の大伴村上(おほとものむらかみ)の名前を誤って記載した可能性もあるようですね。

歌の内容は「秋の雨に濡れ続けているとむさ苦しき佇まいではあるけれど私の妻の家が恋しく思われることだなあ」と、秋雨に濡れながら愛しい妻の居る家を恋しく思う心情を詠った一首となっています。
「賤(いや)しけど」とは、立派ではないとの意味。

万葉集の時代、結婚は男が妻の住む嬬屋に通う「嬬問い婚(通い婚)」の形が普通でした。
それゆえに普段ですら恋しい妻の家が、雨に濡れた身の利上には何時にも増して恋しく感じられたのでしょうね。
そんな妻の家を恋しく思いながら秋雨に濡れつづける利上の姿が目に浮かんでくるような一首ですよね。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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