万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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見まく欲(ほ)りわがする君もあらなくになにしか来(き)けむ馬疲るるに
巻二(一六四)
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一目みたいと思う君ももういないのになにをしに来たのだろう。馬が疲れるだけなのに。
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こちらは先の巻二(一六三)の歌と対になった、大伯皇女の詠んだ歌の二首目。
基本的には先の歌とよく似た内容ですが、それだけに繰り返し詠われるこのときの大伯皇女の心の空白感がよく伝わってくるのではないでしょうか。
万葉集の詠まれた時代は、一見すると自然の豊かな中で人々がのどかな暮らしをしていたように思えるかも知れませんが、実際には皇族同士の後継者争いや臣下の貴族の権力争いなどによる戦いがつづいた時代でもありました。
そんな中で、かつての有間皇子など、この大津皇子の一件のように謀反の罪を着せられて殺害された皇子もめずらしくはなかったのです。
別段、持統天皇だけが特別に残酷だったわけではなく、この時代においてはこのように肉親縁者であっても罠に落としいれて殺害することが頻繁に行われていたことは心に留めておいていただきたいと思います。
この歌の内容としては、伊勢の国からなぜ大和へ帰ってきたのだろう。馬が疲れるだけなのにといった感じですが、大伯皇女はこの旅路だけでなくこれ以後どこへ行っても何を見ても弟のいない寂しさを味わうこととなるのです。
それについてはまた、後の二首で解説したいと思います。
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万葉集巻二
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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