万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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吉野より蘿生(こけむ)せる松の柯(えだ)を折り取りて遣わしし時に、額田王の和へ奉(たてまつ)り入れたる歌一首

み吉野の玉松が枝(え)は愛(いと)しきかも君が御言(みこと)を持ちて通(かよ)はく

巻二(一一三)
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み吉野の玉松の枝は愛しいことです。貴方のお心を言葉を持ち通ってきてくれました。
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この歌も吉野に行幸していた弓削皇子(ゆげのみこ)が額田王(ぬかたのおほきみ)に贈った一首。
「玉松の枝」は苔が生えるぐらいに長生きしている松であることから相手の長寿を祝うために贈ったもので、おそらくは巻二(一一一)の歌を贈ったときに一緒に弓削皇子から額田王に贈られたものと思われます。
この歌はそのお礼として詠んだもの。

この時、額田王はすでに六十歳を過ぎていて当時としてはかなりの高齢だったようです。
松の枝に込められた「この苔の生えた松のように貴女も長生きをしてくださいね」との弓削皇子の心の言葉を、この美しい松の枝が運んできてくれました、といった感じのお礼の意味の歌ですが、かつての天武天皇の妻でもあった額田王に対する弓削皇子の深いいたわりの心が伝わってくるようですね。
同時に、自分の子である草壁皇子を天皇にするため大津皇子まで謀殺した沙羅羅皇女(持統天皇)の統べる大和において、草壁皇子の異母兄弟である弓削皇子や、天武天皇のかつての妻であった額田王の微妙な立場も見て取れる気がします。
弓削皇子にとっては自分とおなじく微妙な境遇にある額田王が、心を許せる数少ない大切な相手だったのかも知れません。


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万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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