万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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日並皇子尊(ひなみしのみこのみこと)の石川女郎に贈り賜へる御歌一首(女郎は字(あざな)を大名児(おほなご)といへり)

大名児(おおなご)が彼方(をちかた)野辺に刈る草(かや)の束(つか)の間(あひだ)もわが忘れめや

巻二(一一〇)
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大名児が遠くの野辺で刈る草のほんの束の間も僕は君の事を忘れるなどということはないよ
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この歌は日並皇子尊が石川女郎に贈った恋歌です。
日並皇子尊は草壁皇子のこと。
石川女郎(いしかはのいらつめ)は名前の漢字が反対になっていますが、先に紹介した(一○六)の歌の大津皇子の恋人の石川郎女と同一人物かと思われます。
万葉集の中に石川郎女(石川女郎)と呼ばれる人物は何人か出てきますが、すべて同じ人物なのかはたまた別の人物なのかはっきりとはしていないようです。

一応、ここでも大方の解釈どおりこの歌の石川女郎を大津皇子の恋人の石川郎女と解釈しておくことにします。
さて、大津皇子の恋人であった石川郎女に草壁皇子が恋歌を贈っているわけですが、これは横恋慕といった感じなのでしょうか?
しかし石川郎女はなかなか恋多き女性だったようなので大津皇子と同時に草壁皇子とも恋仲にあったとも考えられますね。
もしくは、草壁皇子の恋人だった石川郎女を大津皇子が奪ったとも考えられます。

この草壁皇子の歌に対する石川女郎の返歌は万葉集には記載されていません。
これを石川女郎が草壁皇子など相手にもしないで返歌もしなかったと取ることも出来ますが、みなさんはこれらの歌をどのように解釈されたでしょうか?

とにもかくにも、わが子である草壁皇子を天皇にしたいと願う沙羅羅皇女の謀略によって、大津皇子は謀反の罪で処刑されてしまうことになります。
そこに、わが子である草壁皇子の想い人をも奪った大津皇子への憎しみも根底にあったと想像するのは考えすぎでしょうか…


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万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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