万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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内大臣藤原卿の鏡王女に報(こた)へ贈れる歌一首

玉くしげみむまど山のさなかづら寝(ね)ずはつひにありかつましじ

巻二(九四)
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櫛を入れる箱を開くように夜が明ける(開ける)までさな葛のように一緒に寝ないでいることなど僕にはとてもできないよ。
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この歌は一夜を共にした鏡王女(かがみのおほきみ)が相手の藤原鎌足(ふじわらのかまたり)に贈った(巻二:九三)の歌に対する鎌足からの返歌です。
先の(巻二:九三)の歌で、櫛の箱のように夜が開けないでいるのをいいことにいつまでもここに残っていると夜が明けて人に見られてしまいますよ…と鏡王女に詠いかけられたことに対して、おなじく櫛の箱を譬えに出しこちらでは逆に、櫛を入れる箱を開くように夜が明ける(開ける)まで一緒にいないでいるなんてとても出来ないよ、と熱い恋心が詠い返されています。
鏡王女の「櫛の箱のように開けない」に対して「櫛の箱のように開ける」と返しているのが上手いですね。

一説によると鏡王女は天智天皇の妃であったとも藤原鎌足の嫡妻(正妻)であったとも伝えられていますが、鏡王女と妹の額田王の存在にこの時代の天皇家にかかわった女性のひとつの生き方が象徴されているようにも感じます。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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